折りたたみ自転車 あんしんを羽ばたく力に
週末怪談【 逢魔が時物語 】no.6
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≪≪≪ 後ろの自転車 ≫≫≫
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山口県Y市にある商店街で、某店の警備を終えた。
片道五キロある警備会社の事務所に向かっていた。
もうすぐ夜の九時になろうとしていて、人通りも街の
灯りも少ない。
小走りよりも速い程度の、折りたたみ自転車に乗って
いた。しばらく進むと、表通りの県道に出た。
交通量は少ないとはいえ、スピードを上げた車の往来
はある。
そこで、平行して走る旧道を行くことにした。
江戸時代から続く古い街道で、軒の低い家並みが続い
ている。
通りに面した家々に明かりは無く、ぽつんぽつんと外
灯があるだけ。
旧道に入っても、通行人はまったくいない。
前も後ろも、無人の暗い道が延々と続いているだけ。
車を避けてこのルートを選んだのだが、何だか心細く
なってきた。
「ふっ、ふぅ~♪」
突然、背後で鼻歌ともため息ともつかない男の声が
した。
驚いて肩越しに振り向いてちらっと確かめると、
視界の端に<影>が。
右の後方、二メートルくらい離れて、自分より頭ひと
つ背が高い。
足音がしない代わりに、別の自転車のタイヤの音が
する。
どうやらそいつも自転車に乗っているようだった。
ライトは点けていないので、黒いシルエットが見えた
だけだった。
「ふっ、ふぅ、ふぅ~♪」
また、奇妙な声がした。
調子っ外れだが、何かのリズムになっているようだ。
音楽プレーヤーでも聴きながら、曲に合わせて口ず
さんでいるのか。それにしても何かおかしかった。
ジャリジャリジャリと、タイヤが路面の砂を噛む音
はしている。
だが、それ以外の音がしない。
ペダルを漕ぐ音もチェーンが滑る音も、まったく聴こ
えてこない。
(なんだこいつ、気持ち悪っ……!)
知らない間に後ろをついて来る自転車が異様だった。
いつの間に追いついて来たのか、そもそもどこから
現れたのか……。
それより……なぜ、追い越して行かないのだ?
と思った。
こっちは小径の折りたたみ自転車で、スピードは遅い。
普通の自転車なら、とうに追い越しているはず。
明らかに一定の距離を保って、後ろを<付けて来る>
様子。
止まって、やり過ごそうか……とも思った。
もしかすると、こいつはこの世の者ではないかもという
怖れも働いた。
もし、振り返って誰もいなかったら、怖い。
いや、生身の人間だったとすれば、もっと怖いかも知れ
ない。
幽霊より生きている人間の方が怖い、という教訓も
ある。
見知らぬ男がニヤッと笑い、その手に刃物を握っている
かも知れない。
想像は連鎖反応のように、暗い想像を呼んだ。
気味悪さをひたすら我慢して、とにかくそのまま漕ぎ
進んだ。
やがて前方から、車のライトが近づいて来た。
道路脇の駐車場には人の姿も見えた。
すると、後ろの濃厚な気配がスゥーッと消えた。
ほどなく交差点に差し掛かり、事務所へと右折する体勢
をとった。
横断歩道を渡りながら来た道を見たが、どこにも自転車
も人影もなかった。
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