彼女のナイフ、想像出来ますか？

ナイフの通販店舗

✳︎本日２話目ですv

潤さんの車に乗せられて連れて来られたのは、研究所からそんなに離れてない、高層マンションの一室だった。

潤さんはよれた白衣のポケットからスマホを取り出して、今日は行かないからいつも通り頼むって、研究所の誰かに電話してた。

広い部屋。

櫻井さんの部屋も広いけど、それ以上にここは広かった。

ここ、潤さんの部屋だって。何となく思った。

置いてある家具が、そんなにおい。感じ。

おしゃれで、品があって、でも、見た目がいいだけじゃなくて、ちゃんと使える、使ってる、みたいな。

櫻井さんの部屋のものも高級そうなものばかりなんだけど、全然櫻井さんっぽくない。与えられた感が満載で、あんまり使ってなくて、櫻井さんも、ピアノの部屋以外では居心地が悪そうだった。

ここは、そういうのがなくて。

においも、ない。あの部屋のにおい。研究所の。あれもなくて、僕はほっとした。

「何か食べるか？」

「え？」

「まだ早い。何も食べてないなら、何か食べよう」

「何かって？」

「そうだな、ちょっと待ってろ」

潤さんはそう言って白衣を脱いで、袖をめくって、キッチンの方に行っちゃう。

すぐに聞こえる水の音。

まさか、潤さんが、作るの？

手を洗って、冷蔵庫から色々取り出して、手際よく何かを作っていく潤さんを、僕はただただ、ぽかーんってバカみたいに、見てた。

「………美味しい」

一口食べて、思わず言った。

潤さんはそんな僕を見て、口の端を歪めて笑った。

作ってくれたのは、フルーツがいっぱい乗った、フレンチトーストだった。

そして潤さんはコーヒーで、僕はミルクティー、だった。

「雅紀なら大丈夫だと思うけど、ずっとまともに食べてなかったから、ゆっくりよく噛んで食べろ」

「………うん」

ピアノコンクールがもう明日って、それを昨日聞いてびっくりしたけど、櫻井さんと一緒に居た一週間から、いつの間にかもう１ヶ月が過ぎようとしてた。

その間多分僕はろくに飲み食いしてなくて、潤さんに点滴をされたんだけど。

『雅紀なら大丈夫だと思うけど』に、引っかかった。

それはどういう意味なんだろう。

僕は、ナイフで切ったフレンチトーストをフォークに刺して、そのまま、潤さんを、潤さんの方を、見た。

１ヶ月近くろくに飲み食いしてなくて、なのに僕は、僕の身体は、特に痩せたりもなくて、これも、このフルーツの彩り鮮やかなこのフレンチトーストも、普通に食べられてる。

「雅紀の身体は普通の人間よりずっと丈夫にできてる。だから大丈夫だと思う。けど、よく噛んだ方がいい」

見てる僕に気づいた潤さんが、補足ちっくに教えてくれた。

「………うん」

普通の人間より丈夫に。

そうだね。それはそう思う。

僕は小さい頃から病気らしい病気をしたことがない。

どんなに寒い冬にじゅんと外で何時間も遊んだって、いつも風邪をひくのはじゅんで、僕は何ともなかった。

お腹をこわすことも吐き気をもよおすことも、年に何度も流行するインフルエンザにも、僕は。

何で。

僕は病気のはずなのに、そう言われ続けてきたのに。

まるで病気とは、縁が、ない。

「………潤さん」

何で。

それは何で？どうして？

「とりあえず食べよう、雅紀。俺は食べたらシャワーも浴びたい。ここなら誰からの邪魔も入らないから、話はそれからだ」

誰からの、邪魔も。

ここは潤さんの部屋。

けど。

何のための部屋？

潤さんには実家がある。前はそこに住んでた。今は違うの？

潤さんには研究所のあの部屋もあって、でもあの部屋は僕に使わせて、朝まで居たことがないってことは、ずっとここに帰ってきてたの？

潤さんの家族と暮らしてるんじゃなくて。ここで。ここに。

「潤さん」

「ん？」

「………僕これ、おかわり欲しい」

食べたら想像以上にお腹がすいてて、まだ半分ぐらい残ってるのにもっと食べたいって思ってそう言ったら。

潤さんが。

じゅん、が。

じゅんが。

じゅんで………笑った。

コメいっぱいきたーvありがとうv

モチベーションあっぷ。

単純ですが何か←

まだまだ待ってますよ。

待ってますよ

←もはや脅し。

ナイフで学ぶイスラム教

１０数年前の主人との出会いを綴っています。
今、とても幸せな普通の家族として生活しています。
身勝手な不倫の出来事です。気分悪くなる方は読まない方が良いと思います。すみません。

私が主人の家のインターフォンを鳴らしてから数日後、元妻より「２人でお会いしたい」とメールがありました。
私は迷いなく「大丈夫です」と返信しました。主人には言わずにいました。
その日の仕事終わりの夕方、喫茶店で待ち合わせることになりました。
かっちりしたパンツスーツにパンプスを選び、鏡をみると、心身ともにすり減っていた体重は数キロ落ち、元々細長い体型は更に細長く見えました。
仕事を終え、約束の１５分前には着き元妻を待ちました。
約束の時間から２０分後でしょうか、元妻であろう女性が入ってきました。
確信した私は、立ち上がり姿勢を正し、店の奥から、じっと見つめると目が合いました。
深くお辞儀をすると、その女性が近づいてきました。

「〇〇です。遅くなりました。すみません」
「いいえ。大丈夫です。こちらこそ申し訳ございません」
と私は再び深く頭を下げました。席に着くと、
元妻は「あ…主人が好きなタイプの方ですね。びっくりです。お綺麗で。私ももっとダイエットして努力しないと…わたしは…わたしは…主人を愛しています。」と。
私は何と返していいのかわからず「すみません」としか言えなかったです。

元妻と会って話したのはこれだけでした。ただ、本当に勝手なのですが、本当に勝手です…「愛しています」が、心に響いてはこなかったです。

後日、私が主人に黙って元妻に会った事を、主人はとても怒りました。「ナイフ持って、いってたはずだよ。刺されるよ。何するかわからないよ。」

後にも先にもこんなに主人が怒ったのははじめてでした。

でも、いいんです。私はそれ覚悟で会ったのですから。