庭には今年もスズランが咲きました。

生命力の強い植物であると感心します。

神様のホテル～「奇跡の病院で過ごした20年間～を紹介します。

5年前「スロー・メディスン」と言う

ワードで話題になったこの本は2012年に

カリフォルニア州ノンフィクション大賞を受賞しています。

私が昨年手術を受けた主治医の先生が最近

この本のモデルとなった「ラグナ・ホンダ病院」を見学したことを

知り改めて読んでみました。

本は大体10冊くらい溜まるとブックオフで処分していますが

ハードカバーの本は少し残してあります。

本の帯に脳神経科医のオリバー・サックス氏が

「豊潤な生のあり方を美しく描きだしたすばらしい作品だ」と

書かれているのにも魅かれました。

「豊潤」と言えば、食べ物、飲み物や土地、音色などに

かかる言葉だと思っていたので「豊潤な生」とは

どのようなものか知りたいという思いにも駆られました。

ラグナ・ホンダ病院は1867年カリフォルニア州サンフランシスコに

開院。

「ホンダ」という名前なので日本に関係していると

思いきや天然温泉の事でした。

この施設は社会生活が困難となった人々を受け入れる

「救貧院」と呼ばれ回復の兆しのない病人のための

シェルターとしても機能していました。

20年間この病院へ勤務した著者は中世の医療に惹きつけられて

スペインへ巡礼に向かいます。

「医療と巡礼」という二つの行為の中に共通点を見出し

患者の治療に役立てていきます。

患者とのエピソードがひとつひとつ心に響くのは

現代医療に於いてほとんど失われてしまった

患者とスタッフの確かな絆というものが未だに

生きているからでしょう。

「医療とは何か?」という根源的な問いに

答を見出すまでの著者の苦闘が良く描かれていました。

末期症状の患者が望んでいるものは安楽死でも奇跡の

治療法でもなければ強力な鎮痛剤でもセカンドオピニオン

でもありません。

些細で日常的なものごとが望まれるもっとも重要なものだと

知りました。

医師が書いた専門的な医学書ではなくヒューマンドキュメンタリー

なので抵抗なく読めました。

我々患者より医療従事者に読んで頂きたい一冊でした。

量産したモチーフはイヤリングとピアスに

加工しました。