大学生が陥りがちなしょんぼり関連問題
痛い話、お好きですか？
私はキライです。うっかりドアに指を挟んでサ、なんて話を聞くと思わず「ギャー！」と叫ぶクチです。そんな私が今回はイタい話をば・・・。
「痛！」昨日の夕方、突然右の足裏に刺すような痛みを覚えました。ずぼらな私は家でスリッパなど履かない。（アア何か踏んじゃったかな）と思いました。
でも我慢できないほどじゃないし、たいしたことないだろう。何かと慌ただしくしてたのでその時は確認もせず。
次男を寝かせてほっと一息。シャワーを浴びる段になって、痛みが続いていることがようやく気になりはじめました。バスタブのふちに腰かけて足の裏を見ると・・・。「エエ？！」と思わず息をのむ私。
足の裏は真っ黒！
コホン。・・・イヤこれはこれで衝撃よ。慌ててゴシゴシ洗って、もう一度確認しました。すると・・・「エエッ！？」
痛みを感じる箇所に１センチくらいの黒い直線。ん？書いた？それとも切り傷？それとも何か刺さってる？老眼も始まりつつある私にはよく見えません。
ぎゅっとつまんだり押したりしてみましたが、切り口が割れることも、異物の端が出てくることもありませんでした。でも1センチの直線は目立つ。さすがに不安を覚えました。
ナンダナンダ？？気になり始めたらどんどん痛みも強く感じられてきて、長男とオットが疲れた顔で帰宅した時には、足を引きずりながら、真っ青な顔で出迎える私。
「ちょ、ちょ、ちょっとアナタ見てくれる？」
ところで、日ごろたいしてケアもしてない足。タコがあったりかかとカサカサだったり、まあヒドイ。こんなのを他人様にまじまじ見てもらうのって、ものすごく恥ずかしいですね・・・。私がフットネイルを外でお願いできないのはこんな理由。
しかし今は緊急事態。顔を赤らめている場合じゃない。疲れているオットをひざまずかせて、眼前に足をにゅっと突き出しました。死んだ魚の目をして私の右足を持ち上げたオット。なぞの黒い直線を見ると「こ、こいつはデカイな！」思わず声をあげました。
その後、ピンセットや針でつついてもらいましたが、きれいに入りこんでいるのか、まったく糸口が見つからない。「明日病院で診てもらったほうがいいな」とさじを投げられました。私、涙目。
イヤー！！こんな足見せに大病院行くの、イヤー！！自然の作用で抜け落ちろ！と願いながら迎えた今朝、やっぱり黒い線も痛みもそのままでした。
意を決して日本人御用達のサミティべート病院へ行くことにしましたが、靴だと蒸れて臭くなりそうだし、裸足だと傷口が痛い。しかたないから靴下にサンダルという足元を選択。うまい組み合わせなんて知らないから、ただダサイ。
今度はきれいな格好で行くと決めていたのに！（『日常に転がっている格差につまずく駐在妻』参照！）
何が刺さっているのかも分からないし、痛いし、ダサいし、初めての受診で緊張するし（いつも小児科）。テンションダダ下がりで別館にある皮膚科へ行くと。な、なんだ！このまぶしい人たちは！
そういえばこの病院の美容皮膚科はシミ取りで有名。来タイ当初、マスクしている人多いなと思っていたら友人が教えてくれたっけ。「駐在妻がマスクしてたら風邪かシミ取りした後よ」。
シミ取りしたあとは日焼け厳禁らしく、マスクでカバーするんだそうで、5カ月もいたら私もすっかり見慣れたワ。
シミ取りした人がマスクをとった時のかさぶたぶりには二度見させるパワーがあります。まるでおばあさん。でもその何日後かに偶然見かけて、肌がピカピカになってたのには三度見したわね。めちゃめちゃ若くなっとるがな！フルーツ酸恐るべし。
ヨーシ！私もゼッタイいつか行こう！そう、この大病院の皮膚科は私にとって憧れの聖地。
それがまさかの足裏デビュー。来てみたかったけど、こうじゃない。
皮膚科と美容皮膚科は同じフロアにあるようで、皮膚科の受付も待合室にいる女性たちもとにかくみんな肌ピカピカの中、くすんだ肌の靴下サンダル女がひとり。もうしょんぼり。
そんな私を看護師さんが手招き。なぜか血圧を測られました。お肌ピカピカの看護師さん「タイチョウハ？」と日本語で聞いてくれました。
ハハ、やっぱり元気なさそうに見えるのね。「・・・サバイディー カー（元気です）」と力なく微笑む私。
「オ、オ？オッケー。・・・シンチョウハ？」と続けて聞く看護師さん。私が身長を答えるとほっとしたようにうなずいて
「カー。・・・タイジュウハ？」
そこでようやく自分の聞き違いに気がつきました。体調ちゃう。なにがサバイディー。シラネーヨ。
・・・アア神様助けて！！これ以上私はイタい女になりたくない！！
診察室に入れば、髪の毛を盛ったベテランそうな女医さんと冷静そうな看護師さん。症状を伝えるとベッドに横になるように言われました。
ライトを当てて私の足裏を見た先生、「
オ、コノ黒イ線？ナニカ？シャープペン？ハイッテル。キッテミナイトワカラナイ」と言って、看護師さんに準備をさせました。
寝転んでいるので見えないのが余計に不安。でももう、このイタさと早くおさらばしたい。思い切ってやっちゃって！目をつぶって処置を受けていると・・・。
「エエッ！！」
女医さんと看護師さんが同時に大きな声を出しました。・・・な、何？
「・・・チ、チョット見テエ！ワタシコンナノ、ハジメテダヨ！！」
先生の声は興奮して心もち上ずっています。慌てて起き上がると、出産したみたいにガーゼに載せられたものを見せてくれました。私の足裏に刺さっていたものは・・・。
・・・髪の毛？
そこにはピンと立つ毛が一本。『はじめちゃんが一番！』（渡辺多恵子作）のはじめちゃん並みの剛毛。
「アハハハハ！！！モウ、シンジラレナイ！！！」
先生、大爆笑です。隣の冷静そうな看護師さんもくくくと笑っています。
髪の毛が肌を貫通するなんて、そんなバカな！先生、息を整えながら訊ねてきました。
「短イ髪ノ毛、家族ダレイル？」
エート、ウチは男ばっかりだからみんなだけど・・・。
息子と夫がいると話すと、先生は首を振りながらカルテに色々書き込み始めました。
やがてあきれたように、ひとこと。
「ホンット、髪ノ毛カッタイ、家族ナ！！！」
記念にと、丁寧にポチ袋に入れてくれた剛毛を持って、診察室を出ました。相変わらずキラキラな待合室と受付。
・・・アア、なんつーイタい話。
ほんと、イタい話、キライです。
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