繁盛店の隠れた魅力を浮き彫りにするABC
お、ねだん以上繁盛店
繁盛店を自宅にいながら激安でゲット
「違う男……?」
「そうなのよ。みんなイケメンでね。」
「この辺の人だったんですか?」
「女の子?そうよ。」
俺は慌てて訂正する。
「違います。男の方。」
「ああ、一人はそうだけど、もう一人は知らない顔だったわね。
でも、目立つイケメンよ。芸能人みたいな!」
そっちはきっと潤だ。
潤はどこに行っても目立っていた。
潤にとっては迷惑な話だが、誰もが潤に、見た目以上のモノを期待する。
彫りの深い、凛々しい顔立ちが、さらに上を求めさせるのは仕方ないのかもしれないが、
潤は、それほど自信に満ちた男じゃない。
だから、ただひたすら努力し続けた。
勉強もスポーツも。
俺は、そんな潤のストイックさを愛おしく感じていたけど……。
本人は辛かったはずだ。
もがいて苦しんで周りに当たることもあった。
そんな潤が甘えてくるのが、俺にとっては可愛かった。
「もう一人の男は?この辺の人なんでしょ?」
「そうなの。」
店員が、俺の耳元に口を寄せる。
「誰にも言わない?」
この人は、そう言って何人の人に話したのだろう。
「もちろん、言いません。」
俺は合わせて、真剣な面持ちで答える。
大事な話をするぞと言う様に目を見開いて、店員が耳打ちする。
「知ってる?この商店街の有名人。」
「有名人?誰です?」
「まだ知らないかしら?商店街一の繁盛店の店長。」
まさか、さっき行ったばっかりの……?
「中華料理の……?」
「あら、もう知ってるの?さすが有名人ね。そう、相葉亭のマスター。」
ほら、すごいでしょ?と言わんばかりに店員がニヤッと笑う。
「二人で何度か来たわ。いつも笑顔のマスターが深刻そうな顔してて。」
「深刻そう?」
「そうよ。あれは不倫の密会ね。」
絶対そう!と言う様に、店員が大きくうなずく。
「密会って……こんな近所で?」
「うちはあんまりお客さん入らないから好都合なんじゃない?」
いくら客が入らないからってこんな近所で密会?
「相葉亭の店主、結婚してたんですね。若いのに。」
「いやね、結婚してないわよ。まだ23、4じゃなかったかしら?
イケメンで愛想がいいから、この町の学生から主婦まで、みんな狙ってるわ。」
確かに愛想がよかったけど……。
「結婚してないんじゃ、不倫にならないじゃないですか。」
「あら……そうね。だから言ったじゃない。三角関係のもつれだって!」
噂好きのおばさんはこの程度だ。
有力な情報かと思ったが、仕方ない。
「本当に深刻そうだったのよ。女の子は目に涙溜めてたし……。」
「涙?」
「そうよ、今にも泣き出しそうなのを、マスターが肩を叩いて慰めてあげてて。」
「それ、いつの話ですか?」
店員は、ん~と天井を見上げる。
「確か……1週間くらい前じゃなかったかしら?」
「見たことないイケメンが来たのは?」
「それはだいぶ前ね。2ヶ月くらい前かも……。」
「だったら、そのイケメンと別れて店主と付き合い始めただけじゃないですか。
で、ケンカして仲直りしただけってこともありますよ。」
店員は、ばかねと言うように、腕を組んで俺を見る。
「それじゃ面白くないでしょ?第一、あの雰囲気は間違いなく三角関係のもつれ!」
「ははははは。」
俺は笑うしかなく、やっと店員が注文を作りに戻って行ってくれたので、
窓の外をぼんやり見つめる。
うだるような暑さはまだ続き、太陽が沈むにももう少し時間がある。
相葉が……美咲と会っていたのは事実だろう。
相葉の様子では、二人が付き合っていたという印象ではなかったが、
それは隠してるからか?
美咲が泣いていたのが気になる。
相葉に何か悩みを相談していたのか、又は相葉に泣かされたのか……。
潤と美咲が会っていてもおかしくはない。
友人だと言っていたし……。
店員の言う通り、三角関係だとしたら……美咲に振られた方が殺した?
それなら動機になりうるが……。
大前提の三角関係がどうも怪しいし……。
店員がアイスカフェオレを持って来る。
「お待たせしました。」
グラスに浮かぶ氷が涼し気だ。
「美味しそう。」
「美味しいのよ。ウチのイチオシ。」
店員はそう言って戻って行く。
カフェオレにガムシロを入れて掻きまわす。
カランと氷の崩れる音が涼を呼ぶ。
ストローで一口飲むと、冷たさと甘さが口いっぱいに広がる。
疲れているのか、その甘さが心地いい。
もう一度、相葉に話を聞いてみないと……。
当分、晩飯は中華か……。
携帯を取り出し、画像フォルダーから、潤の写真を取り出す。
二人で新居を見に行った時の写真だ。
嬉しそうに笑う潤は天使のような笑顔で俺を見つめる。
「待ってろ。ちゃんと犯人を見つけ出すから。」
ゆっくりしている暇はない。
アパートのオーナーにもできれば話を聞きたい。
カフェオレを一気に飲んでレジに向かう。
「あら、もう飲み終わったの?おかわりする?」
「いえ、もう大丈夫です。ご馳走様でした。」
俺が財布から小銭を取り出すと、店員がおもむろに俺の手を握る。
「思い出した。もう一人いたわ。あの女の子と会ってた男。」
「他にも?」
俺はレジを見て、ちょうどになるよう、小銭を並べる。
「そう、あの……何て言ったっけ?工場で働いてて、工場長にも可愛がられてて……、
結構なイケメンなんだけど……。」
「工場で?……大野さん?」
手が止まり、店員を見つめる。
「そうそう!大野、おおちゃん!」
大野さんがここで美咲と会っていた。
アパートで会えるのに?
わざわざここで?
なぜ?なんの為に?
繁盛店 関連ツイート
2日目セーラー着て3日目はりのとおそろいかましてきた
初めての文化祭で準備間に合うんかなってかんじやったけど繁盛したしよかった
一緒に回ってくれたり写真撮ってくれたりシフト中にわざわざ店に来てくれた人ありがとうございました!!…
うちのラーメン屋、結構な繁盛店やから金土日祝のお客さんの量えげつないねん(>︿<。)