キンキン情報天国
まだ取材の途中ですが、今回の取材で行った、ある神社での出来事をご報告しておきます。
(旅行中で十分な推敲をする時間がなく、文章がイマイチだと思いますが、どうかご勘弁を〜)
私がその神社を訪れたのは、夕方に近い時間でした。
お天気が良くなかったので、気温が低く、「ぎゃー、さっぶぅー!」と言わずにはいられない冷え込みようでした。
ブルブル震えながらの参拝です。
シーズン中はにぎわっていると思われる神社ですが、季節とお天気と時間帯のせいで閑散としており、参拝客は私を含め、たった2人でした。
私が拝殿に到着した時、すでにおじさんは合掌をして、神様にお話をしていました。
手を合わせ、頭を少し下げて、一心にお祈りしているかのような、そんな姿でした。
邪魔しちゃ悪いな〜、と思った私は、先に写真を撮ったり、本殿のそばに行って神様を見たりしていました。
時々、拝殿の前まで戻ってみるのですが、おじさんはずっとお話をしています。
そこで、今度は境内社を一社一社見てまわり、15分くらい時間をつぶしましたが、おじさんはまだ拝んでいました。
とりあえず拝殿前で正式なご挨拶だけさせてもらおう……と思った私はおじさんの横に立って(おじさんは端っこに立っていました)、そっと祝詞だけ唱えました。
それから、参道である石段を下りました。
石段を下りつつ、振り返って見ると、おじさんは同じポーズでずっと拝んだままです。
時折、強風がびゅうぅぅー! と吹いて、「ひぃ〜! さっびー!」という言葉が、意図せずに口から出てしまう……手もキンキンに冷えて、かじかんで動かない、という寒さです。
私は神様の前だというのに我慢できなくて、ポケットに手を入れていました。
おじさんはそんな寒さの中で、手袋もせず、合掌をしているのです。
冷えきってしまって、手がもう動かないのでは? と思いました。
というか、おじさん、立ったまま気を失ってない? 大丈夫? と心配になったくらいです。
石段を下りつつ参道の様子を写真に撮り、脇道からも境内に上れるので、その写真も撮り、脇道(山道です)で神様と15分くらいお話をしてから、参道入口に戻りました。
入口からは神社の駐車場が見えます。
ちょうどその時、1台の車が出て行きました。
駐車場に残っているのは私のレンタカーだけです。
「あ、おじさん、お話が終わったんだ〜」と思った私は、「境内には誰もいないだろうから、もう1回上って、拝殿の写真をしっかり撮ろうかな」と石段を上って行きました。
拝殿が見える場所まで上って、驚きました!
おじさんが、まだいたのです!
しかも! まだ拝んでいます。
同じ姿勢のままで、です‼︎
えっ? と本当に驚きました。
私がこの神社に到着してから、確実に45分は経っています。(もっと、かもしれません)
私が来た時におじさんは拝んでいましたから、1時間近く、ずっと何事か、神様にお話をしているのです。
寒風吹きすさぶ中、手はかじかんで感覚がないと思われるのに、一心不乱に神様にお願いをしているのでした。
足音をさせるのも申し訳なくてできない、と思った私はそのまま、そ〜っと石段の途中で引き返しました。
石段を下りながら、「おじさん、その願い事、叶うといいですね」と思いました。
心の底からそう思いました。
あれだけ真剣にお願いをしているのです。
おじさんは、心底神様を信じているからこそ、手がかじかんでも、強風がビュービュー吹いてこごえるくらい寒くても、微動だにせず合掌をしているのです。
ここの神様は超古代の服装をした男性の神様ですが、ものすごいご神気を放っていて、しかも大きいので力も強いです。
少しくらい難しいお願い事をしても、十分叶えられるはずです。
「神様! どうか、おじさんの願いを叶えてあげて下さい!」と、神様に強く訴えました。
すると、神様はとても穏やかな口調で教えてくれました。
おじさんの奥さんは末期ガンなのだそうです。
「妻の命を助けて下さい」と、おじさんは祈願をしているそうです。
そうだったんだ……と、難しい願掛けであることを知りましたが、でも神様だったらガンは消せるはずです。
それを言おうとしたら……。
「天寿である」と、神様に言われました。
奥さんがガンで亡くなるのは寿命である、動かせない、ということです。
どんなに一生懸命おじさんに祈られても、神様が何とかしてあげたくても、手出しができないのでした。
ああ、そうか、仕方がないことなんだ……。
そう思うと、おじさんが一生懸命に祈っている姿が思い出され、なんとも言えない気持ちになりました。
切なくて、重苦しい気持ちでいっぱいになりました。
そこで、神様に聞いてみました。
「神様? 手を出せないってことは、おじさんの、あの祈りはどうなるのでしょう? 無駄ってことでしょうか……」
すると神様は、とてもあたたかく、慈愛に満ちた口調でこう言いました。
「その分(願いを叶えてやれない分)、この男性のことはワシが精一杯、守る。男性が死ぬその時まで……しっかりと守ってやる」
奥さんが亡くなった時に、おじさんの心が壊れたりしないように、あとを追ったりしないように、神様が抱きしめるようにしておじさんを守るのだそうです。
神様は、おじさんの信仰心が厚く、ピュアであることを知っています。
ですから、おじさんのことはとても可愛く、大切に思っているそうです。
でも、奥さんのことは天寿ですから、命を長らえるという願いは叶えてやれないそうです。
そう言っている神様もつらそうでした。
おじさんには、好きなだけ祈らせてあげているそうです。
本人の気がすむまでさせているのは、本人があとで後悔をしないように、という神様の思いやりだったのです。
神様は……私が考える以上に、深く深くおじさんのことを思っていたのでした。
神様の愛情はなんて大きく美しいのだろう、と思うと、涙がポロポロと出て止まらず、泣きながら参道を歩きました。
おじさんは、奥さんが亡くなった時に神様を恨むかもしれません。
奥さんを助けてくれなかった神様に、不信感を持つかもしれませんし、「神様なんかいない!」と思うかもしれません。
神様は大きな愛で包んでいますが、目の前でつらいことがあると、そう思うのは当然です。
届かないと知りつつ、私は心の中で、「おじさん、おじさんが信じている神様は、決しておじさんを裏切ったりしないですよ」と、声をかけずにはいられませんでした。
神様のことを深く真摯に信仰する人のことを、神様はとても大切に思い、あたたかい慈愛で包んでくれている……そのことを教えてもらえた貴重な出来事でした。
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