量産の独壇場
このニュースは既に一昨日に飛び込んできたものですが、遅ればせながら当ブログでも取り上げます。
東急は去る11日、今年度の設備投資計画を発表しました。
(より。PDFファイル注意)
詳細は上記リンクをクリックしてお読みいただきたいのですが、当ブログで取り上げたいのは、何と言っても車両に関する計画。
車両に関しては、以下のことが明記されています。
① 2020系を6編成導入
② 大井町線有料座席指定サービス開始
③ 7000系を6編成導入し、7700系を完全淘汰
順に見ていきましょう。
まずは、遂に2022年の8500・8590系完全淘汰に向けて、2020系が6編成導入されること(①)。
今年度は6編成
6編成ということですから、昨年度導入の3編成と合わせて9編成となります。昨年度導入の3編成は、純然たる増発用であり在来車の淘汰はしないということでしたが、今回はそうではありません。
ということは、この6編成と引き換えに、同数の8500・8590系が退役することになりますが、これによって退役する編成はどれなのでしょうか? 一説によれば、最古参の8606Fは「さよなら運転」のために残しておくといわれていますが、「サークルK」すなわち東武乗入非対応編成を残しておくことは、運用上の桎梏を残すこととイコールであることから、管理人は懐疑的に見ています。むしろ危ないのは「サークルK」こと東武非乗り入れ編成、特に8590系と8606F、さらにVVVFとチョッパの混成で保守点検が大変な8642Fではなかろうかと思われます。
この編成は危ないのでは?
もし仮にこの編成が2022年まで生き残ったとしますと、実働期間は実に47年。デハ3650形の実働期間と一致することになるばかりか、あのデハ3450のそれとも肩を並べることにもなります。
そして8590系もいよいよ…という気もします。
遂に全廃か?
田園都市線が半蔵門線を介して東武との相互直通運転を開始する前は、管理人は8590系も東武乗入対応改造を施されるとばかり思っていました。しかし、実際は皆様ご存じのとおり。やはり8500系とは細かいところが異なるからなのでしょうか。
もし8590系が消えるとすれば、東急車輛製造(当時)が世に出した、初の量産型軽量ステンレス車が東急の路線から消えることになります。
東武乗入編成で危ないのは、やはりこの編成でしょうか。
8614F
東武乗入編成は、東武との相互直通運転開始以前よりも走行距離が激増しているため、それだけ老朽化が進行しているのではないかと思われます。その中でも、内装未更新の編成、写真の8614Fなどは危ないと見ます。実際には、検査期限が到来した編成から、車齢のいかんを問わず順番に退役させていくのでしょうけど。
次の②ですが、大井町線急行に座席指定サービスを導入するのは注目されます。
恐らく6020系充当列車になると思われる
このサービスは下り方1両を指定席車にし、残りの車両は自由席車とするそうですが、そうなると、下り方1両の先頭車は新たに製造するのか、それとも編成ごと新たに導入するのか、どちらなのでしょうか。
そして趣味的に最も注目されるのが③。
遂に、7000系の追加投入により、残っている7700系を完全淘汰することになりました。
7700系の完全淘汰は、東急初の…というより日本初のオールステンレスカーである、初代7000系の車体が東急の路線上から消滅することを意味します。
この姿も見られなくなる
初代7000系は、いずれも車体の経年(車齢ではない)が50年を超えていますから、東急でも長寿だったデハ3450の長生きしたグループと同じか、それ以上の時間を走ってきたことになります。走り装置こそ、昭和の末期にVVVFインバーター制御に換装されていますし、同時に冷房装置の搭載もなされていますが、その改造からでも30年以上経過していて、しかも初期のGTO-VVVFで半導体の劣化も懸念されますから、淘汰という判断はやむを得ないものと思われます。
そして同時に、7700系の完全淘汰は、8000系リニューアル車が平成5(1993)年にまとって以来四半世紀にわたって東急を席巻してきた、あの赤と黒(スタンダールの小説ではない)の「歌舞伎装飾」が東急の路線上から消えることも意味します。
遂にこれも見られなくなる
7700系の「歌舞伎装飾」は、8000系とは異なり、ワンマン運転対応編成の証だったもの。池上線のワンマン運転化に先立ち、7600系と7700系の一部の編成を平成10(1998)年にワンマン運転対応に改造、同時にワンマン運転対応編成の証として「歌舞伎装飾」を纏ったという経緯があります。その後、平成12(2000)年の目蒲線の運転系統変更に伴う多摩川-蒲田間の分離により、多摩川-蒲田間を「東急多摩川線」としてそこでもワンマン運転を実施することになりました。これにより、7700系も3連化の上ワンマン運転対応改造が施されましたが、これら後発でワンマン運転対応改造が施された編成は、「歌舞伎装飾」を纏うことはありませんでした。
そのため、「歌舞伎装飾」は意味を失ってしまいましたが、7700系3編成(7712~14F)には、現在なお「歌舞伎装飾」が施されています。
「歌舞伎装飾」を纏った編成のうち、8000系は10年前の平成20(2008)年に退役し、7600系も数年前に退役しました。残っているのは7700系だけですが、その7700系もいよいよ「カウントダウン」が始まることになります。
昭和37(1962)年に登場した初代7000系トップナンバーも、その13年後に登場した8500系のトップナンバーも、既に東急の路線上からは姿を消しましたが(後者は長野電鉄で健在)、車体だけとはいえ初代7000系も、8500系も、もう十分に働いてきました。だから後進に道を譲るのも、仕方のないことです。
管理人は、沿線住民として、東急ファンとして、彼らの活躍を最後まで見守りたいと思います。
※ 当記事で使用した写真は、いずれも以前の記事からの転載です。
【おことわり】(平成30年5月15日 21:03)
当記事を05/12付の投稿に変更します。
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